あなたへのオススメのすゝめ

こんにちは、ともっとです。
院試を間近に控えているということで、今後の研究で主に扱うことになるであろうRecommender System(推薦システム)についての論文を読みながら、何回かにわけて記事にまとめていこうかなって思います。

この分野に関わったことがない人でも読みやすいように、初めの方は読みやすさ重視で書いていくので、こんなの知ってるよ!って人は読み飛ばしてください。

今回は推薦システムについての基礎的なところを紹介しようかなと思います。

はじめに

皆さんはネットでショッピングをすることがありますか?最近はかなりの人が利用しているように思います。実際EC市場(Electronic Commerce)の規模は2020年に前年比で10%以上成長しており、数値としても15兆円を突破しています。
もちろん実店舗にも商品をその場で確認できる等の良さはありますが、それと比較した際に現在のネットショッピングの利便性を支える根幹は商品数の多さだと思っています。その圧倒的な商品数から、例えばAmazonで何か購入する時は勝手に商品同士を比較してくれたり、あなたへのオススメが出てきたりして、ついつい手が伸びてしまいますよね。実際の店舗でもレジの近くの位置につい手が伸びるような商品がおいてあることに似ています。余談ですが、今現在Amazonは3億5千万以上もの商品を取り扱っているみたいです、すごい!

話は変わって、皆さんは動画サイトで気づいたら想像以上の時間が経っていた経験がありますか?
例えばYoutubeではよく見る動画の投稿者をチャンネル登録してチェックする人もいると思います。そして動画を見た後に関連動画に飛んで、その動画を見て関連動画に飛んで...を繰り返して気づいたら日が暮れていた(夜が明けていた)、なんてこともあるかと思います。
また最近では少し動画サイトの扱いも変わってきていて、見たい動画があるわけではないけどなんとなく開いてトップに出てくる動画を見て時間をつぶす、なんて使い方をする人も増えていますね。

ここまで現代にありがちな二つの例を出しましたが、このどちらにも推薦システムが用いられています。

推薦システムってなんだ?

学術的な定義については色々言われますが、よく聞くのは以下の定義です。

Tools to help identify worthwhile stuff

(価値あるものを見極めるためのツール) 

これは21世紀に入ってすぐにKonstanによって提唱されたもので、かなり広い意味で捉えられています。最近ではこれに加えて意思決定を支えるツールという捉え方もされてきています。意思決定に関連する部分の詳細は次回以降に触れていきます。

先ほどまでの例でいうと、到底人間には扱いきれない量の商品や動画の中からユーザーに好まれやすそうなものを提示することで、実際に購入や視聴といった意思決定の助けをしている、ということになります。

推薦システムの種類

基本的にはパーソナライズ(個人化)されているか否かで二つに分けられます。
具体例でいうと、ユーザーの購入履歴や視聴履歴に基づいたレコメンドはパーソナライズされている、ということになります。反対にパーソナライズされていないレコメンドはすべてのユーザーに同じ推薦をする(人気順など)ということです。はじめの方にあげた実店舗で行われているつい手に取ってしまうような商品の配置は、パーソナライズされていない推薦システムに考え方は似ていますね。ちなみに最近の論文ではパーソナライズされたものが多いです。

パーソナライズの問題点として、以下のようなものがあるのでタイトルに興味を惹かれたらぜひ見てみてください。

www.silveregg.co.jp

www.actzero.jp

さいごに

レコメンドは専門科目としては情報工学または経営工学という枠組みに収まります。私は経営工学側の人間なのでそちらに関係させて研究していけたらいいなと思っています。

経営工学は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つを主に扱う学問であり、扱う対象に「ヒト」が含まれることから倫理的な問題にセンシティブになる必要があります。推薦システムにおいても上記にあげたリンクのような内容であったり公平性の観点が問題にされたりと、現代にありがちな利便性との板挟みになりやすいと感じます。パーソナライズと公平性については最近ホットらしいので別の機会に紹介できたらと思います。

この記事を書いている裏にある論文は、推薦システムをデジタルナッジとして捉えて、この二者間のギャップを埋めていくことを目的としています。なので次回は推薦システムが意思決定の補助であるからナッジの一種として捉えられることを、行動経済学の領域から書いていけたらなーと思っています。

つづき→

overfurotto.hatenablog.com